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東京高等裁判所 昭和62年(ネ)3277号 判決

一 控訴人が本件実用新案権を有すること、本件考案の実用新案登録出願の願書に添附した明細書の実用新案登録請求の範囲の記載が控訴人主張のとおりであること、被控訴人株式会社高橋電器製作所が原判決添付の物件目録記載のとおりのイ号製品を業として製造し、被控訴人住商機電販売株式会社がこれを業として販売していたことは、当事者間に争いがない。

二 右争いのない実用新案登録請求の範囲の記載と成立に争いのない甲第一号証(本件公報)によれば、本件考案は魚類の自動計量装置に関する考案であつて、控訴人主張のとおり(1)ないし(9)の各構成要件からなり、かつ、控訴人主張のとおりの作用効果を奏するものであることが認められる。

三 そこで、イ号製品が本件考案の技術的範囲に属するか否かについて判断するに、イ号製品が本件考案の構成要件(1)、(3)、(4)、(8)及び(9)を充足することは被控訴人らの認めるところであるが、被控訴人らは、イ号製品が本件考案の構成要件(2)、(5)ないし(7)を充足することについては争い、(7)の点については、イ号製品においては、落下口の口端上方側に上向開口部は存在せず、シユート下端の天井部分はゴム板によつて覆われており、右ゴム板はイ号製品において必須の構成であるから、イ号製品は本件考案の構成要件(7)を具備していない旨主張するので、まず、右の点について検討する。

1 前示のとおり、本件考案は、斜切状とした落下口の口端上方側と開閉蓋の上位側端との間に、閉成時開口用の上向開口部を設けることを不可欠の構成要件(構成要件(7))とし、右構成を具備することにより、開閉蓋の開閉時においても右開口部を通じて貯留ホツパー内の魚類を漏出させることなく貯留ホツパー内部を検視することができるという効果を奏する(請求原因2(二)(2)C)ものと認められる。

2 これに対し、イ号製品の構造を表示するものであることに争いのない原判決添付の物件目録の記載と成立に争いのない乙第四号証(石井博作成の写真撮影報告書)によれば、同号証に添付の写真はイ号製品を撮影したものと認められるところ、前記物件目録の記載及び右写真によれば、イ号製品においては、貯留ホツパー1に連結して設けられたシユート1´の上方の約三分の二は開放され、下方約三分の一は天板11、11´と右天板の先端部にネジによつて固定されたゴム板12、12´によつて覆われ、その下方先端が落下口2、2´、2´´となつており、開閉蓋5、5´、5´´の閉成時には、開閉蓋5、5´、5´´の先端部13、13´、13´´がゴム板12、12´に当接することによつて、落下口2、2´、2´´を閉塞するものと認められる。そして、ゴム板12、12´は、前認定のとおり、天板11、11´の先端部にネジによつて固定されており、開閉自在とか、着脱自在とかの態様で取付けられているものではないことや、右ゴム板は弾性体であること、更には、開閉蓋5、5´、5´´は装置の稼動中頻繁に開閉するもので、その閉成時には、右開閉蓋の先端部13、13´、13´´と右ゴム板とが当接する構造になつていることから、右ゴム板は、貯留ホツパー1に投入された魚類が投入された勢いによつてシユート部分1´から外に飛び出すこと及び天井部先端との衝突により損傷を受けることを防止するとともに、開閉蓋5、5´、5´´と天井部との接触による衝撃音の緩和や衝撃をやわらげて装置自体の損傷を防止するための部材として設けられたものと推認され、天板11、11´とともにシユート部分1´の天井部を構成するものと認められる。

3 そうであれば、イ号製品においては、ゴム板12、12´の先端部が落下口2、2´、2´´の口端を構成するものと解するのが相当であり、しかも、前認定のとおり、開閉蓋5、5´、5´´の閉成時には、ゴム板12、12´と右開閉蓋の先端部13、13´、13´´とが当接する構造になつているのであるから、その間に、ホツパー内部を検視し得るような隙間、すなわち、本件考案の構成要件(7)にいう開口部が存するものとは認められない。

したがつて、イ号製品が本件考案の構成要件(7)を充足しているものとはいえない。

4 控訴人は、本件考案における上向開口部23はイ号製品を表示した原判決添付の物件目録の12、12´に対応するから、イ号製品は本件考案の構成要件(7)を充足する旨主張し、これに沿うものとして鑑定人森田允夫の鑑定の結果中には、弾性体であるゴム板12、12´の先端部が落下口2、2´、2´´の口端とは言い難く、右口端はあくまでも固体からなる天板11、11´の下方先端部であり、その口端と閉成時の開閉蓋5、5´、5´´の上位側端との間に存在する間隔部が、本件考案の上向開口部23に相当し、その上向開口部をゴム板12、12´で覆つていると解するのが妥当である旨の部分も存するが、前認定のとおり、ゴム板12、12´は天板11、11´とともにシユート1´の天井部を構成するものと認められるのであつて、そうしたゴム板12、12´の存在を無視し、落下口2、2´、2´´の口端は天板11、11´の下方先端部であり、その口端と閉成時の開閉蓋5、5´、5´´の上位側端との間に存する間隔部をもつて、本件考案の上向開口部23に相当すると解することは到底できないから、控訴人の右主張及び鑑定の結果中これに沿う部分は採用し難く、他に前記認定判断を覆すに足りる証拠はない。

三 よつて、原判決中、補償金及び損害賠償金請求を棄却した部分は相当であつて、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとする。

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